クラウドベンダーの選び方

AWS・Google Cloud・Microsoft Azure・Cloudflare・Vercel を中立に見くらべる総覧。万能の正解はなく、用途との相性で選びます

この記事の要約

クラウド選びに万能の正解はありません。5 つは『何でも揃う総合系』と『配信・公開に特化した edge/アプリ系』の 2 つの性格に分かれ、用途との相性で選びます。

  • 優劣ではなく『どの用途に向くか』で読む
  • 性格の違いは出自 — 何屋から始まったかがいまも残る
  • 一社への集約も、得意な部品の併用も成り立つ

クラウドはどう選べばいい?

Webサイトや業務アプリを動かす土台——サーバ・保管庫・データベース——を、自前で持たずにインターネット越しに借りられるのがクラウドです。ただ、名前は知っていても『どんな軸でくらべればよいか』は見えにくいものです。

AWS
網羅性・実績
Google Cloud
分析・AI
Microsoft Azure
Microsoft連携
Cloudflare
世界中のエッジ網
Vercel
Web公開の自動化

各ブロックや矢印をクリックすると、その仕組みの説明がここに表示されます。

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構成図「2つの性格 ― 総合系と edge/アプリ系」。ブロック5個、つながり0本。 枠: 総合系(ハイパースケーラ)(ブロック3個)、edge / アプリ系(ブロック2個)。 【ブロック】 - AWS: 網羅性・実績 - Google Cloud: 分析・AI - Microsoft Azure: Microsoft連携 - Cloudflare: 世界中のエッジ網 - Vercel: Web公開の自動化

5つを観点でくらべる(早見表)

AWS
総合系
Google Cloud
総合系
Azure
総合系
Cloudflare
edge系
Vercel
アプリ系
通販の計算基盤から
網羅性・実績
検索・YouTube基盤から
分析・AI
Windows・Office由来
Microsoft連携
DDoS防御・CDNから
エッジ網
Next.js開発元
Web公開の自動化
VM〜関数まで段階的
EC2 / Fargate / Lambda
VM〜サーバレス
Compute Engine / Cloud Run / GKE
VM〜サーバレス
VM / App Service / Functions / AKS
サーバレス中心
Workers(重い処理は Containers)
サーバレスに一本化
Functions(Fluid Compute)
内製で網羅
S3+RDS/Aurora/DynamoDB 等
内製で網羅
Cloud Storage+Cloud SQL/Spanner/BigQuery
内製で網羅
Blob+Azure SQL/PostgreSQL/Cosmos DB
用途別の独自部品
R2 / D1 / KV / Durable Objects
本格DBは外部前提
自社は Blob / Edge Config のみ
部品を組み合わせる
CloudFront+WAF/Shield+Route 53
一体運用できる
LB+Cloud CDN+Cloud Armor
Front Doorに統合
CDN+WAFを1つに
出自そのもの・内蔵
全拠点で一体
内蔵・自動で付く
配備すれば前段つき
対象者ごとに分かれる
IAM / Identity Center / Cognito
土台はIAM
Cloud Identity / Identity Platform
社員も顧客も自前
Entra ID / External ID
前段で認証できる
Cloudflare Access
アプリ内ログインは自前
管理画面は SAML SSO
従量+コミット割引
項目が多い
従量+自動/コミット割引
従量+予約・ライセンス活用
製品ごと従量+無料枠
R2のegress無料
seat+使った分
Active CPU課金
幅広く一基盤に集約
迷ったら定番
データ分析・AIが主役
BigQuery活用
Microsoft製品と一体
社内IDを活かす
高速配信・防御
マルチテナント
Webフロントの素早い公開
DX重視

各セルをクリックすると、その意味や詳しい説明がここに表示されます。

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比較表。5列 × 7行。 【列】 1. AWS(総合系) 2. Google Cloud(総合系) 3. Azure(総合系) 4. Cloudflare(edge系) 5. Vercel(アプリ系) 【比較】(観点ごとに) ■ 出自・性格 - AWS: 通販の計算基盤から / 網羅性・実績 - Google Cloud: 検索・YouTube基盤から / 分析・AI - Azure: Windows・Office由来 / Microsoft連携 - Cloudflare: DDoS防御・CDNから / エッジ網 - Vercel: Next.js開発元 / Web公開の自動化 ■ プログラムの動かし方 - AWS: VM〜関数まで段階的 / EC2 / Fargate / Lambda - Google Cloud: VM〜サーバレス / Compute Engine / Cloud Run / GKE - Azure: VM〜サーバレス / VM / App Service / Functions / AKS - Cloudflare: サーバレス中心 / Workers(重い処理は Containers) - Vercel: サーバレスに一本化 / Functions(Fluid Compute) ■ 保管とデータベース - AWS: 内製で網羅 / S3+RDS/Aurora/DynamoDB 等 - Google Cloud: 内製で網羅 / Cloud Storage+Cloud SQL/Spanner/BigQuery - Azure: 内製で網羅 / Blob+Azure SQL/PostgreSQL/Cosmos DB - Cloudflare: 用途別の独自部品 / R2 / D1 / KV / Durable Objects - Vercel: 本格DBは外部前提 / 自社は Blob / Edge Config のみ ■ 配信・前段の防御 - AWS: 部品を組み合わせる / CloudFront+WAF/Shield+Route 53 - Google Cloud: 一体運用できる / LB+Cloud CDN+Cloud Armor - Azure: Front Doorに統合 / CDN+WAFを1つに - Cloudflare: 出自そのもの・内蔵 / 全拠点で一体 - Vercel: 内蔵・自動で付く / 配備すれば前段つき ■ ID・ログイン - AWS: 対象者ごとに分かれる / IAM / Identity Center / Cognito - Google Cloud: 土台はIAM / Cloud Identity / Identity Platform - Azure: 社員も顧客も自前 / Entra ID / External ID - Cloudflare: 前段で認証できる / Cloudflare Access - Vercel: アプリ内ログインは自前 / 管理画面は SAML SSO ■ 料金モデルの形 - AWS: 従量+コミット割引 / 項目が多い - Google Cloud: 従量+自動/コミット割引 - Azure: 従量+予約・ライセンス活用 - Cloudflare: 製品ごと従量+無料枠 / R2のegress無料 - Vercel: seat+使った分 / Active CPU課金 ■ 向いている用途 - AWS: 幅広く一基盤に集約 / 迷ったら定番 - Google Cloud: データ分析・AIが主役 / BigQuery活用 - Azure: Microsoft製品と一体 / 社内IDを活かす - Cloudflare: 高速配信・防御 / マルチテナント - Vercel: Webフロントの素早い公開 / DX重視 【観点】 - AWS で見る: AWS - Google Cloud で見る: Google Cloud - Azure で見る: Azure - Cloudflare で見る: Cloudflare - Vercel で見る: Vercel

7つの観点で5サービスを横にくらべる早見表です。

総合系3社の考え方の根っこ

アカウント
課金とリソースの境界
組織
会社のドメイン
テナント(ディレクトリ)
会社のID基盤
組織 → OU → アカウント → リソース
組織は後付けの層
組織 → フォルダ → プロジェクト → リソース
組織が幹
管理グループ → サブスク → リソースグループ → リソース
テナントが土台
IAM + IAM Identity Center
外部ID基盤と連携が前提
Cloud Identity / Workspace
会社のドメインと一体
Entra ID(旧 Azure AD)
Microsoft 365 と一体
インフラから
EC2 / S3(サーバ・ストレージ)
検索・Workspace から
ネットサービスの会社
社内ディレクトリから
Active Directory の流れ
クラウド環境 → あとで組織
環境が先
組織(会社)→ あとで環境
組織が先
組織(会社)→ あとで環境
組織が先
アカウント分割
やや重い
プロジェクト
軽い・フォルダで束ねる
サブスクリプション
テナント配下で分ける

各セルをクリックすると、その意味や詳しい説明がここに表示されます。

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比較表。3列 × 6行。 【列】 1. AWS(Amazon / 環境が先) 2. Google Cloud(Google / 組織が先) 3. Microsoft Azure(Microsoft / 組織が先) 【比較】(観点ごとに) ■ いちばん上にあるもの - AWS: アカウント / 課金とリソースの境界 - Google Cloud: 組織 / 会社のドメイン - Microsoft Azure: テナント(ディレクトリ) / 会社のID基盤 ■ 入れ子の階層 - AWS: 組織 → OU → アカウント → リソース / 組織は後付けの層 - Google Cloud: 組織 → フォルダ → プロジェクト → リソース / 組織が幹 - Microsoft Azure: 管理グループ → サブスク → リソースグループ → リソース / テナントが土台 ■ ID基盤(ログインの土台) - AWS: IAM + IAM Identity Center / 外部ID基盤と連携が前提 - Google Cloud: Cloud Identity / Workspace / 会社のドメインと一体 - Microsoft Azure: Entra ID(旧 Azure AD) / Microsoft 365 と一体 ■ 生い立ち(出自) - AWS: インフラから / EC2 / S3(サーバ・ストレージ) - Google Cloud: 検索・Workspace から / ネットサービスの会社 - Microsoft Azure: 社内ディレクトリから / Active Directory の流れ ■ 最初に作るもの - AWS: クラウド環境 → あとで組織 / 環境が先 - Google Cloud: 組織(会社)→ あとで環境 / 組織が先 - Microsoft Azure: 組織(会社)→ あとで環境 / 組織が先 ■ テナント(顧客)の分け方 - AWS: アカウント分割 / やや重い - Google Cloud: プロジェクト / 軽い・フォルダで束ねる - Microsoft Azure: サブスクリプション / テナント配下で分ける 【観点】 - AWS の見方: AWS - Google の見方: Google Cloud - Microsoft の見方: Microsoft Azure

違いの根っこは『組織が先か、環境が先か』。

選ぶときの観点を広げる

各トピックをクリックすると、その内容の説明がここに表示されます。

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マインドマップ「クラウド選びの観点」。中心トピック「クラウド選び」から 5 本の枝が広がる。 【トピック】 - クラウド選び(5つの観点でくらべる) - 動かす(プログラムの実行) - 段階から選べる(総合系) - お任せ寄り(edge / アプリ系) - ためる・つなぐ(保管とデータベース) - 内製で網羅(総合系) - 専用部品か外部(edge / アプリ系) - 届ける・守る(配信と前段の防御) - 部品を組み合わせる(総合系) - 内蔵で自動(edge / アプリ系) - 入る(ID・ログイン) - 社員のログイン - 顧客のログイン - 払う(料金モデルの形) - 従量+割引(総合系) - 無料枠・seat(edge / アプリ系) 【関連】 - ためる・つなぐ ⇢ 払う(egress が効く) 【流れ】 - 観点を順にたどる: クラウド選び → 動かす → ためる・つなぐ → 届ける・守る → 入る → 払う

5つの観点の先に、各サービスの持ち味が見えます。

比較を読むときの注意

料金は変わります。本ページは金額でなく『課金の数え方』で比較しているので、実際の費用は各社公式の料金ページと見積りツールで確認してください。サービス名の改称も多く、過去情報と用語が食い違う前提で最新の公式ドキュメントを見ます。

押さえておきたい用語

クラウド/クラウドベンダー
サーバや保管庫などのIT基盤を、自前で持たずインターネット越しに貸し出す事業者・サービスの総称。
ハイパースケーラ
世界規模のデータセンター網を持つ超大規模クラウド事業者。AWS・Google Cloud・Microsoft Azure の3社を指すことが多い。
エッジ(edge)
利用者の近くに分散して置かれたデータセンター群。近くで処理するほど応答が速い。Cloudflare の中核。
サーバレス
サーバの用意や台数調整を事業者に任せ、使った分だけ払う方式。アクセスに応じて自動で増減する。
egress(外向き転送)
保存したデータを外へ取り出すこと。通常は転送料がかかり、量が多いと費用や乗り換えにくさの要因になる。
ベンダーロックイン
特定クラウドの独自サービスに深く依存し、他社へ移りにくくなった状態。データを外部に持つと緩められる。

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